2023年8月6日(日)

 マッチングアプリを経由して会ったことのある男と約束をして、宮崎駿の『君たちはどう生きるか』を観てきた。限られた数の前評判から察するに、映像はうつくしいが内容としては混沌としていて、例えるなら日本の現代詩やキューブリックの『2001年宇宙の旅』のようなものだろうかと想定していたから、意外なわかりやすさには驚いた。極端な思考はわたしの可愛らしい癖。ジブリといえば、金曜ロードショーで放送されているものを半端な集中力で何作か観たことがある、という程度の経験しかないのだが、そんなわたしであっても『ハウルの動く城』や『千と千尋の神隠し』などとの類似点を見つけられておもしろかった。年若い少年の意思が無いものとされず、世界の重荷をひとりで背負わされなかったのも良かった。

 鑑賞後は男とマンガ喫茶へ行った。互いをタロットカードで占うという名目で、確かにそれは果たしたのだが、その後明らかに性的な誘いを待っている様子だったのでうんざりした。今年何人かのひとと会ってみたが、ここでようやくじぶん自身のことがわかった。わたしに<他者>は必要ない。<他者>との関わりを尊いとする世間の要請にこれまで従ってきたが、今後は可能な限り拒絶したい。わたしのことをすべて理解してくれて、なおかつ恋愛関係に陥らないパートナーがいつか現れてくれるだろう、というおとぎ話めいた幻想は捨てなければならない。