穂村弘『手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)』小学館文庫 2014.2
目覚めたら息まっしろで、これはもう、ほんかくてきよ、ほんかくてき
いもうとをやめてあなたのともだちになるわって頬はさんでくれる
ママレモンで兎の檻を洗ってる、ふわあふ、ふわあふ、あくびになるわ
完璧な心の平和、ドライアイスに指をつけても平気だったよ
「凍る、燃える、凍る、燃える」と占いの花びら毟る宇宙飛行士
早く速く生きてるうちに愛という言葉を使ってみたい、焦るわ
包丁を抱いてしずかにふるえつつ国勢調査に居留守を使う
ぬいぐるみの口のなかには宝石がいっぱい詰まっている夏の朝
閃光ののち、しましまの、うずまきの、どうぶつだけが生まれる世界
神様、いま、パチンて、まみを終わらせて(兎の黒目に映っています)